3D PRINT SERVICE by DOHO(4)
事前準備
3D事業ファクトリーは、金属3Dプリンタと付帯設備を完備
豊富な経験を持つスタッフが設計・造形から最終仕上げまで対応
今回は3D造形の流れの中の「準備」工程をご紹介
3D造形の流れ
01.設計

※関連設備
3Dプリンタ用データ準備ソフト、スライスソフト
製品データを確認、造形用のデータに加工
スライスデータを作成
02.準備
★今回の工程

※関連設備
真空乾燥機、パウダーモジュール
材料の湿気を除去、装置へ投入
造形基盤をセットし、システムでスライスデータを読み込む
03.造形

※関連設備
金属3Dプリンタ
造形開始
04.後処理

※関連設備
熱処理炉、BAOMA社製ワイヤーカット
内部応力を除去するための熱処理を行う製品を基盤から切り離す
金属パウダーについて
金属粉末を敷きつめた部分にレーザーを照射し、溶解・凝固を繰り返し積層するSLM方式では、状態の良い金属パウダーを使用することが重要です。
弊社が造形サービスにて取り扱う金属パウダーの種類は以下の5つです。3Dファクトリーで扱っていない素材も、ZRapid社やパートナー企業とのネットワークにより、ラインナップを拡充しています。
アルミ(AlSi10Mg)
ステンレス(SUS316L)
マルエージング鋼
インコネル(IN718)
チタン
保管方法
酸化による劣化を防ぐため、光が当たらない冷暗所で保管、高温多湿を避け、湿度や温度を一定にします。
特にチタンとマグネシウムは粉塵爆発の可能性があるため、個別の金属キャビネットに収納し、徹底した湿度や温度の管理が必要です。

材料準備

乾燥
真空乾燥機を利用し、湿気を除去します。
100度以上(アルミ:180度、ステンレス:120度)で金属パウダーを加熱、5時間ほどかけて水蒸気をとばします。
作業完了後、3Dプリンタへ投入します。
~ 金属パウダーの再利用 ~
一度設備に投入した金属パウダーでも、レーザー焼結されずに余った金属パウダーは再利用が可能です。
金属パウダーの再利用を可能にする「パウダーモジュール」は3Dプリンタの横に設置され、造形中と造形後に稼働させます。
余分なパウダーは、管を通ってパウダーモジュールに送られ、内蔵している篩(ふるい)機でパウダーを選別、再利用可能なパウダーのみ再度3Dプリンタに投入されます。


10~55ミクロンを超えたサイズのパウダーは廃棄となりますが、約9割は再利用が可能。
AM(金属積層造形)はリサイクル率が高く、材料費のコスト削減にも繋がり、従来の加工方法とは異なる大きなメリットの1つです。
特にSLM方式はリサイクル性に優れ、SDGsの観点からも注目されています。
装置準備
金属3Dプリンタの正常で安定した動作を確保するためには、日頃のメンテナンスが重要。
設備稼働前の事前準備としては、主に造形チャンバー内の清掃や基板設置、窒素充填を行います。
基板設置
基板とは金属パウダーが敷き詰められ、造形物が積層される土台となる部分です。
一般的に3㎝ほど厚みのある基盤は一定の薄さになるまでは繰り返し使用が可能。基板が薄すぎると、造形するアイテムの大きさや形状により応力で変形してしまう可能性あるので注意が必要。
3D事業ファクトリーでは、常に基板の清掃・メンテナンスを行い、すぐに造形に使用できるよう複数基板を常備しています。


金属パウダーは可能な限り均一且つ水平に敷きつめることで造形精度が上がります。
そのため、基板のセッティングには熟練の技術が必要です。
コンピューターを操作し、基板の高さをミリ単位で数回上下させ、基板上に均一にパウダーが敷きつめられるようになるまで調整します。
基板の細部まで均一にするためには、コンピューターの操作だけでは難しく、手作業で四隅のねじを締めることで、微調整を行います。
事前準備の中で最も時間と技術を要する工程です。


造形チャンバーの清掃
造形チャンバー内の扉等に付着した余分な金属パウダーを防爆集塵機で回収し、内部を綺麗にします。
基板の真上にあるレーザー保護ガラスはアルコールで毎回拭き、レーザーを正確に照射させることで精度が高くなります。
窒素ガスの充填
設備稼働時には毎回窒素を充填させます。
窒素を充填せず酸素濃度が高くなると、粉塵爆発の危険性が高くなるためです。
(チタン、マグネシウムは窒素の代わりにアルゴンガスを使用します。)
これで事前準備は完了。


セールスエンジニア
ZRapid認定インストラクター
今回は、「3D造形の流れ」の中の「準備」工程をご紹介しました。
このメンテナンスも含めた事前準備は、造形品の品質・精度を左右し、3Dプリンタの長寿命化にも繋がる非常に重要な工程です。
金属パウダーやメンテナンスに関すること、その他造形に関すること等、ご質問がございましたら、お気軽にお問合せください!
次回の「3D PRINT SERVICE by DOHO」では、
実際に3Dプリンタを稼働させる「造形」工程をご紹介します。