株式会社ライト製作所
ライト製作所様は、医療機器、光学機器、半導体製造装置などを開発・製造するメーカー様向けの「受託開発・製造(ODM・OEM)事業」と、半導体搬送装置、AGV自動搬送機器、眼科医療分野などの「自社ブランド事業」を展開。
「開発から量産までの一貫生産体制」を強みとし、 精密機器の総合ODM・OEMメーカーとして、強いものづくりを実践しています。
2022年11月、日本最大規模である大型金属3DプリンタiSLM420DN、及び一連の付帯設備を導入。現状は3Dプリンタを活用した造形サービスを展開されています。今回は、導入にも携わった津野田工場長にお話を伺いました。


取締役
坂戸工場 工場長 博士(工学)
津野田 亘様
Q.3Dプリンタを購入された背景は?
当社が行っている加工や組み立てといった既存の手法では今後の成長は見込みづらく、将来的な可能性を探究しながら「強い」ものづくりを目指したいという意識が根底にありました。
そこで目を付けたのが、積層造形技術という新しい加工方法です。
当初は3Dプリンタに関する知識もノウハウも全くなかったため、まずは、3Dプリンタメーカー、ユーザー企業、3D造形技術を研究対象としている大学等にリサーチを開始しました。
全国20ヶ所程度は周ったと思いますが、ビジネスには繋がらないというユーザーが多く、導入を諦めかけていました。
しかし、ある企業の「ビジネスとして成立させるには難しい現状もあるが、3D造形領域に挑戦することで、既存ビジネスでは構築できない様々な分野とのコネクションが生まれることに意味がある。」という言葉に感銘を受け、新しい「協創」が生まれるのであれば、と導入に踏み切りました。
Q. ZRapid社の3Dプリンタを選択された理由は?
コスト面ももちろんですが、技術力の向上に結びつけることも考え、余分な機能が搭載されていないシンプルな構造の設備を探していました。
また、坂戸工場が得意とする大型切削加工との親和性を考慮し、大型造形が可能な点も条件の一つでした。
そこで候補に挙がったのがZRapid社ですが、海外メーカーのため、国内でのサポート体制が必須。技術力を持ったエンジニアがおり、中国現地ともスムーズに連携がとれるDOHOのサポート体制に魅力を感じました。


Q. 導入後のサポート体制は?
導入時や導入直後にはトラブルもありましたが、サポートには大変感謝しています。
トラブルの際にはすぐに工場に来てくれ、質問にはリアルタイムに対応してくれる等、スピーディーな対応が有難いと思っています。
また、ZRapid社もアドバイスをくれることもあり、メーカーと代理店が一体となったサポート体制にも安心感を感じることができています。
現状は、何かあればすぐに対応頂けるので問題はないですが、日本語のマニュアルが不足している点は改善してほしいと思っています。
Q. 今後の展望をお聞かせください。
正直、造形サービスとしての案件はまだまだ少ないというのが現状です。
社内でも、3D造形事業は未だ浸透しておらず、まずは社内での宣伝活動を通して、既存事業との相乗効果を生むような3Dプリンタの活用方法を模索していきたいと考えています。具体的には、自社製品の部品を今までは鋳造で作成していましたが、3D造形に置き換え、社内の管理コスト削減を図っていく予定です。
事業化にはまだまだハードルが高いと感じますが、「開発から量産までの一貫生産体制」という弊社の強みを生かし、3Dプリンタを活かした「強い」ものづくりを探求していきたいと思います。


坂戸工場
経営企画部
杉本 愛華様
ライト製作所様では、3D造形事業を始めるにあたって、社内公募で担当者を募集。そこで立候補し、担当者として抜擢された杉本様にもお話を伺いました。
大学では機械工学を専攻しており、プログラミングやソフトウェアに興味がありました。3D造形事業では、ソフトウェアを利用した設計から製造まで、ものづくりの工程全体に携わることができ、魅力的だと感じました。
当時は入社直後の新入社員だったため不安もありましたが、「従来の加工方法とは全く異なる分野での挑戦のため、知識や経験のないことが逆に武器になる」という津野田工場長の後押しもあり、挑戦を決意しました。
現在は、データ設計から材料準備、造形、後処理、二次加工の指示まで、基本的に1人で担当していますが、このように一通りの作業を行い、リクエスト通りの造形品を完成させるようになるまで、約1年はかかりました。
配属当初は、3D造形に関する知識が全くない状態だったため、埼玉大学の研修に通い、3D造形関連の論文を読み、疑問に感じたことは質問を投げかけ、まずは知識を習得することに必死でした。
また、DOHOの3D事業ファクトリーでの研修、ZRapid社の現地研修等、実務に関する研修サポートも受けました。
設計の失敗も数多く経験し、今でも試行錯誤の繰り返しですが、複雑な構造でうまく造形ができない時には、DOHOやZRapid社のエンジニアにアドバイスをもらっており、迅速にリプライ頂ける点はとても助かっています。


現在は、 3D造形事業を社内に浸透させるため、全国の当社工場に足を運び、3D造形に関するプレゼンも行っています。
製作方法が全く異なる切削加工部門等の現場の方の意見も大変勉強になり、この環境を生かし、社内での新たな3Dプリンタ活用方法を模索していきたいと思っています。
また、顧客とのコミュニケーションの場を増やし、案件を増やしていくとともに、あと数年で、強いものづくり手法の一つとして認めてもらえるよう基盤を固め、個人的にはプロジェクトメンバー増員を目標としています。
今回導入した設備

ZRapid社製 iSLM420DN
【レーザーシステム】
レーザータイプ Fiber Laser
波長 1064mm
パワー 500w×2
造形速度 25-63㎤/h
【造形エリア】
サイズ X:420×Y:420×Z:500mm
【本体】
サイズ W:2650×D:1450×H:2900mm
重量 約3700kg
お客様情報
株式会社ライト製作所
■所在地 本社:東京都板橋区 坂戸工場:埼玉県坂戸市
■創業 1947年
■従業員数 600人
■事業内容 設計開発から製造(部品加工、塗装、組立)までの一貫生産体制が強みの精密機器のODM・OEMメーカー
・眼科・眼鏡機器
・医療機器
・半導体製造関連機器
・液晶基板製造装置
・光学機器
・航空機エンジン等

荒川 美咲
広報担当
ライト製作所は、DOHOの金属3D造形サービスのパートナー企業でもあり、420×420という大型造形エリアの特性を生かした造形案件(※材質:アルミ)のご相談も承っています。
今後も造形サイズ、材質、二次加工等、幅広いニーズに対応できるよう、パートナー企業との造形サービスネットワークを拡大していく予定です。
造形に関すること等、ご質問がございましたら、お気軽にお問合せください!