和田精密歯研株式会社
和田精密歯研様は、創業60年以上の歴史を持つ、入れ歯や差し歯などの義歯の製造販売を行う日本最大の歯科技工所です。
長年にわたり培われてきた技術と経験を活かし、患者様の口腔内の健康と幸福を追求する「口福(こうふく)」を企業理念として掲げ、1000人以上の従業員が日々、歯科医療の最前線で活躍されています。
具体的には、最新のデジタル技術による新素材を用いた審美性の高い製品を独自の研究開発によって生み出し、社会全体の口腔ヘルスケアの向上に貢献されています。
2023年に弊社が国内総代理店を務めるZRapid社製金属3Dプリンタ「iSLM160」を導入頂きました。
今回は、当時の導入の経緯や現在の活用状況についてお話を伺いました。
インタビューには、導入を推進された生産・開発ご担当者様、そして実際に現場で活用されている歯科技工士の皆様にもご参加頂き、貴重なお声をお聞かせ頂きました。


執行役員 生産本部長 日本歯科審美学会認定技工士
仲田 誠一 様(右)
生産開発部 次長 歯科技工士スーパーテクニシャン
林 大介 様(中央)
開発薬事部 専門係長
山根 崇 様(左)

CAD/CAMセンター 次長
山木 康充 様
CAD/CAMセンター 次長
菅 友樹 様
生産開発部 主任
池上 剛史様
CAD/CAMセンター 主任
上田 隼也様
(右から、山木様、菅様、池上様、上田様)
Q1. どのような課題・背景から、3Dプリンタの導入に踏み切りましたか。
近年、歯科技工業界では、歯科技工士の人手不足が深刻化しています。当社では、以前から労働環境の改善や新素材・新技術の導入に取り組み、患者様ファーストを念頭に、短納期で高品質な歯科技工物を提供する体制づくりを進めてきました。
日本国内では、ロストワックス法による鋳造が長らく主流でしたが、CAD/CAMによる歯科専用の切削加工システムが次第に実用化されていきました。鋳造は手間がかかる一方で、切削加工では材料のロス率が高いという課題を抱えていました。
そうした中で、当社ではいち早く金属3Dプリンタの可能性に着目し、調査・検討を重ねた結果、第1号として2009年に独EOS社製「EOSINT M 270 Dental」の導入に踏み切りました。

当時はまだ業界全体でも知見が乏しく、ノウハウの蓄積も少ない中での挑戦でしたが、試行錯誤を重ね、鋳造と同等もしくはそれ以上の品質を確保できるようになり、技工士の負担軽減や生産効率の向上に大きく寄与しました。
しかし、年月を経て保守費用の負担や部品供給の終了といった課題が顕在化し、装置の入れ替えの検討を始めたのがきっかけで、DOHOさんと出会うことになりました。
Q2. ZRapid社製3Dプリンタ購入の1番の決め手となったのはどのような点でしょうか。

とにかく完成品の品質が高いこと。
JIMTOF2022で初めてDOHOさんを知り、以降何度も打ち合わせを重ねながら、試作機でのサンプル製作等を進めました。サンプルの完成度の高さにはとても驚かされたことを覚えています。
また、従来機と比べて金属粉末の回収率も高く、歩留まりが良い点も魅力的でした。
当社が抱える課題解決に向け、真剣に取り組んでくださり、最終的にはDOHOさんとの信頼関係を築けたことが、導入の決め手となりました。
Q3. 3Dプリンタ導入までにどのような点に苦労しましたか。


3Dプリンタは多くの業界で活用が進んできていますが、購入後も安定した稼働率をキープできている企業はかなり少ないのが実情です。
だからこそ、当社では機械の性能だけでなく、
当社が抱える課題に一緒に向き合い伴走してくれる「長く付き合えるパートナーであるかどうか」や
「導入後のサポート体制」を重視していました。
各社の情報を比較しながら慎重に検討を進め、そのような企業を見極めることにかなり時間を割きました。
Q4. 3Dプリンタを導入し、どのようなメリットを感じていますか。
大きなメリットとして感じているのは「品質の安定性」です。
鋳造では、歯科技工士の経験値やスキルによって品質のばらつきがありました。内部に鋳造欠陥が生じるリスクもあり、レントゲン撮影など確認工程も必要でした。確認をしたにも関わらず、引き渡し後に内部欠陥が発覚するケースもありました。
一方、金属3Dプリンタは設計データ通りの形状が高精度に再現され、目に見えない内部欠陥の不安もなく、患者様に安心して提供できるようになりました。
また、鋳造時に発生する粉塵や高温といった過酷な作業環境からも脱却でき、スタッフの労働環境改善にもつながっています。

Q5. 弊社の導入前・導入後の対応はいかがでしょうか。

こちらからの問い合わせに対するエンジニアの方々のレスポンスが早く、
リアルタイムで対応してくれるサポート体制には非常に満足しています。
トラブル発生時には中国メーカーの担当者とも連携して、解決まで迅速に導いてくれる点は有難いと感じています。
導入前の段階でも、従来品と同等の品質を出すための検証を丁寧に進めて頂き、規定の品質を無事クリアすることができました。スムーズな対応で短期間で立ち上げることができ、大きな安心感につながっています。
Q6. 今後の展望を教えてください。
3Dプリンタの価格は徐々に下がってきているとはいえ、まだまだ歯科技工所にとっては高価な投資です。
コスト面や人的資源の確保等、様々な課題を乗り越え、将来的には、全国に3Dプリンタを備えた造形拠点を設けたいと考えております。時間はかかりますが、鋳造から金属3Dプリンタへの移行を段階的に進めていきます。
最終的には、歯科技工士不足という課題の解消や業界全体の技術水準の向上を実現し、その結果として一人一人の患者様に適した高品質な技工物をよりスピーディーに提供できる体制づくりを目指しています。

Q7. 今後弊社に期待する点を教えてください。

商社としての枠を超えたパートナー企業としての営業支援、リアルタイムのサポート体制はぜひ今後も継続して頂きたいと思っています。
現在でも金属3Dプリンタのメリットは十分に感じておりますが、造形後の二次加工の負担軽減や、全体としてのコストメリットをさらに感じることができる仕組みづくりに期待しています。
また、技術の進歩が速い業界だからこそ、最新情報や他社の事例等も積極的に共有頂けると有難いです。
業界全体に対する希望としては、金属3Dプリンタのさらなる小型化や、熱処理やサポート除去等の工程を少しでも自動化・簡易化できるような技術が発展していくことを願っています。
末永く、良きパートナーとしてご支援頂けると幸いです。
8. ZRapid社製3Dプリンタ導入当時から関わりのある戸澤社長より一言コメ ントをお願いいたします。
ZRapid社製3Dプリンターを選んだのは何と言ってもDOHO社のサポート体制です。歯科技工物の新たな製品づくりに取り組む時も、ZRapid、DOHO両社のエンジニアが何度も弊社に足を運んでいただき、パラメーターの調整や弊社担当者との打ち合わせを行い臨床応用まで到達することができました。両社の協力が無ければ実現しないことでした。
全てがフルオーダーメイドの歯科技工物と金属3Dプリンターはとても相性が良いと考えています。
日本の歯科技工士の優れた技術と高精度3Dプリンターの活用で、私共はこれからも歯科医療に貢献できる歯科技工物製作に取り組んで参ります。

和田精密歯研株式会社
■所在地 本社:大阪府大阪市
■創業 1966年
■従業員数 1,351人
■事業内容 歯科技工製品の製造・販売、歯科医療用具販売
【金属3Dプリンタに関する歩み】
1958年:創業
1989年:歯科でのCAD/CAM応用開始
2009年:金属積層造形機 EOSINT M 270 Dental導入
2014年:金属積層造形機 EOSINT M 270 Dental導入(2台目)
2023年:ZRapid iSLM160導入 コバルトクロム
2024年:ZRapid iSLM160導入 コバルトクロム(2台目)
2025年:ZRapid iSLM160導入 チタン(3台目)

【今回導入した設備】
ZRapid社製 iSLM160 デンタル
■レーザーシステム
レーザータイプ Fiber Laser
波長 1064mm
パワー 500w
造形速度 5-20㎤/h
■造形エリア
サイズ X:160×Y:160×Z:200mm
■本体
サイズ W:1100×D:1280×H:1850mm
重量 約1000kg